樹木 |
巨木〜小高木 |
高木はその北側に日陰を作ることで庭の環境を左右する。新たに植える場合はその樹木が作り出す風景も大切であるが、むしろ庭がどの程度暗くなるのか、どの場所の陰が濃くなるかなど想定することが大切。高木〜小高木は道路や隣家から視界を遮る目隠しの目的や、暑い夏に木陰を提供する目的やシンボルツリーとして植えられる。
1.常緑樹
樹冠を隙間なく覆う様に葉が茂り、濃い日陰を作る。冬は日差しが低いため大きな日陰になる。風を遮る効果が高い。スリムな樹形を持つ樹種は枝葉の茂り型も幅が狭く、大きな日陰を作らない。
例:ダイオウショウ、ゴヨウマツ、マツ、ゲッケイジュ、ユズリハ、ユーカリ、
ツバキ、サザンカ等
2.落葉樹
一般に葉の茂る密度は薄く、木が作る日陰は常緑樹のそれに比べて明るい。また、冬は日陰を作らない。しかし、大きな樹冠を形成する樹種は前庭に植える場合は葉張りの出ないものか、必要に応じて枝を透かすことで採光を図る。
例:ナツツバキ、アメリカハナミズキ、モクレン、コブシ、ゲッケイジュ、ネムノキ、
サルスベリ、モミジ、ウメ、ヤマボウシ、カリン、ザクロ、シダレザクラ、ハナモモ、
ヒメシャラ、リョウブ、シラカバ、ユリノキ、エンジュ、サンシュユ、オオデマリ
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低木と小低木 |
低木から小低木にある樹種には、日向を好むものから日陰に耐えるもの、日陰を好むものまであり、美しい花を咲かせる種類が多い。このことから戸建て住宅の庭に植える木といえばこのサイズが中心となる。
庭が寂しくなる冬に緑を添えるというも公的から、常緑樹が積極的に使われる。また、2〜3mの常緑樹なら道路の近くに植えることで目隠しに利用することが可能。
1常緑樹例:サザンカ、ツバキ、シャクナゲ、コニファー、アオキ、コノテガシワ、
ソテツ、ヤツデ、カルミア、ヒイラギ、ヒイラギナンテン、アセビ、
キンシバイ、ジンチョウゲ
2落葉樹例:ハナカイドウ、トサミズキ、アジサイ、ウツギ、エニシダ、オウバイ、
オオデマリ、ギョリュウ、コデマリ、ユキヤナギ、ボタン、ムクゲ
フヨウ、ヤマブキ、レンギョウ
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垣根 |
庭木は生け垣にも利用される。ふつうは刈り込みに耐える常緑樹が利用され、それも刈り込み後の再生が速く、葉が密に重なり合う樹種が利用される。
1高中木(3m以上)例
イチイ、サワラ、ヒノキ、スギ、イヌマキ、アラカシ、シラカシ、マテバシイ、
サンゴジュ、モチノキ、サザンカ、イヌマキ
2中低木(1.5m〜2m)例
イヌツゲ、マサキ、カシ、カナメモチ、ベニカナメ、モクセイ、モチノキ、
サンゴジュ、ヒノキ類、ヒマラヤスギ、シノブ、ヒバ、コニファー類、カイズカ、
イブキ、イボタ、サザンカ、ツバキ、ドウダンツツジ、ムクゲ
3低木(0.5m〜1.5m)例
イヌツゲ、ハマヒサカキ、ピラカンサ、ベニカナメ、キャラボク、コニファー
コトネアスター、ドウダンツツジ、ヒイラギ、クチナシ、ユキヤナギ、ニシキギ
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草花 |
花壇 |
花壇の主役は一年草である。一年草の多くは日当たりを好むので、庭の中でも半日以上日が当たる場所をそのスペースに当てる。また、一年草は肥沃な土壌を好み、過湿に弱い種類が多いので、新たに植える前には必ず深耕して元肥を施し、水はけが悪い土地では有機物などを混ぜて土壌改良したり、煉瓦などで花壇を縁取り、土を盛り上げるなどして、水はけを良くする。 |
ボーダーガーデン |
道路と宅地の間にある線状のスペース、門から玄関までの通路の両サイド、隣家との塀に沿った部分、植木の植え込みに沿った部分などに作る線状の花壇をボーダーガーデンという。日当たりがよく肥沃な土地で、手入れが簡単な場所なら一年草も可能だが、多年草や樹高1m以下の低木を併用した据え置き型の花壇とするのが一般的。 |
コンテナガーデン |
庭全体の日当たりが悪い場合や花壇を作る十分なスペースがない場合などに重宝するのが移動可能なコンテナガーデンである。玄関周りや道路に面した場所、ベランダなどに向く。また、フェンスなどがあればハンギングバスケットを添え据え付けて楽しむことも出来る。コンテナには日当たりの善し悪し、水を好むもの、乾燥を好むものを併せないなどの工夫が必要。 |
つる植物の活用 |
ツル植物の利点はわずかな地面で栽培でき、その地面は多少暗くてもツルが伸びる部分に日が当たれば問題なく育つことである。例えば家の壁とブロック塀に挟まれた数10cmのスペースがあれば、そこにブドウやフジを植え、ツルを屋根上や2階テラスまで伸ばして育てることが可能。また、フェンスを利用してツルバラやフジなどを育て、あるいはフェンスに常緑性のムベなどを誘引して、目隠しに利用することもできる。
例:フジ、キウイ、ブドウ、ムベ、アケビ、ノウゼンカズラ、ツルバラ、キヅタ、
スイカズラ、サネカズラ、ツルウメモドキ |
グランドカバープランツの活用 |
グランドカバープランツとは大きな庭木の株もとや法面などを広く覆う植物がいうが、広義には塀などの垂直面に育つツル植物を含めることも多い。耐陰性が強く痩せ地で育つものが多いなど、一般家庭の庭でも角地のような場所や高木の株もとなどに活用するとよい。
例:((常緑))リュウノヒゲ、ジャノヒゲ、フッキソウ、シャガ、ツワブキ、ユキノシタ
ヒマラヤユキノシタ、トクサ、セキショウ、キチジョウソウ、アジュガ、
ノシラン、ヤブラン、ハラン、這性ローズマリー
((落葉))ギボウシ、シラン、エビネ、イカリソウ、ドイツスズラン、ゴシキドクダミ、
アマドコロ、ハナニラ、ポテンチュラ、ラミウム
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熱帯植物の活用 |
暑さに強いことから最近は夏の花壇やコンテナなどに利用することも多い。寒さに弱いものが多いので冬は室内管理が通常だが、場所や管理によっては戸外で冬越しできるものもある。軒下などの適当な場所がなければ株もとを10cm以上の厚さに落ち葉などでマルチングを施して冬越しすると良い。そこに隠れた茎の部分が生き残って、春再生する。
(関東以西で冬越可能(上記管理により)な熱帯植物)の例
シコンノボタン、ランタナ、ダチュラ、ニオイバンマツリ、ベロペロネ、
アブチロン、カポック、インドゴムノキ、ユッカ、アロエ等
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環境 |
ベランダや屋上 |
高層マンションのベランダでは強い風が吹く。また、日が差し込むベランダでは乾燥しやすく、夏は高温になり、熱がコンクリートに蓄えられることから、夜になっても温度が下がりにくい。まず強風は葉を傷つけ、また高温乾燥はハダニの発生を多くし、夜温が下がりにくくなると呼吸によるエネルギーの消耗が大きくなり、種類によっては夏越しで枯れることさえある。そのようなベランダの環境を変えるためには、防風ネットなどを利用して強風が吹き抜けないようにし、床面にはスノコを敷くなどおして、熱を防ぐ。
ベランダのように乾きやすい環境では、いくつかの鉢植えをまとめて置くことでお互いが元気に育つ。また、空調の室外機の吹き出し口に植物を置かないこと、排水溝を詰まらせないようにすること、ハンギングなどを手すりに固定する場合は、手すりの内側に据えてしっかり固定するとともに、流れ出る水やりの水が下の階へ飛ばないようにな気遣いが必要。 |
室内 |
外に比べて光りが弱いので、わりと耐陰性のあるものがよい。
室内で植物を育てる時は
肥料は戸外で育てるよりは少なくする。
水やりも 室内だと水が乾きにくいので過湿に注意する
室内に長く置いた鉢植えはときどき午前中に戸外に出して日に当てる。
室内に長く置くとホコリがたまり、病気の原因になるので、葉水を葉の表裏とも行う。 |
薬品 |
殺虫・殺菌剤 |
おすすめ殺虫剤
一般名 |
商品名 |
特長 |
販売会社 |
石灰硫黄合剤 |
石灰硫黄合剤 |
冬期に使用する薬剤。カイガラムシ、うどんこ病など |
キング化学、ニッソーグリーン、フマキラー、北興産業 |
アセフェート粒剤 |
オルトラン粒剤 |
残効性のある浸透移行性剤、吸汁性害虫と食害性害虫の両方に効果がある |
住化タケダ園芸、北興産業 |
ケルセン乳剤 |
ケルセン乳剤40 |
ダニ用の薬剤 |
住化タケダ園芸 |
マシン油乳剤 |
1エアータック乳剤、2ナツマシン、キング95マシン4ホクコースピンドロン乳剤
5特製スケルシン92 |
冬期の越冬カイガラムシ用の薬剤 |
1理研グリーン、23キング化学、4北興産業、5ニチノー緑化 |
マラソン乳剤 |
マラソン乳剤 |
広範囲の害虫に効果がある薬剤 |
キング化学、三共緑化、住化タケダ園芸、ニチノー緑化、フマキラー |
MEP乳剤 |
スミオチン乳剤 |
広範囲の害虫に効果がある薬剤 |
キング化学、三共緑化、住化タケダ園芸、ニチノー緑化、フマキラー |
チオファネートメチル水和剤 |
1トップジンMゾル2トップジン水和剤 |
カビ類の広範囲の病気に効果がある |
1住化タケダ園芸2三共緑化、ニッソーグリーン |
ベノミル水和剤 |
デュポンベンレート水和剤 |
カビ類の広範囲の病気に効果がある |
住化タケダ園芸 |
ポリカーバメート水和剤 |
ビスダイセン水和剤 |
カビ類の広範囲の病気に効果がある |
住化タケダ園芸、北興産業 |
マンネブ水和剤 |
マンネブダイセンM水和剤 |
カビ類の広範囲の病気に効果がある |
三共緑化、住化タケダ園芸 |
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除草剤 |
グリイホサイトイソプロピルアミン塩・MCPイソプロピルアミン塩液剤 |
ラウンドアップ |
日産化学工業 |
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肥料 |
肥料の3要素
1チッ素(N)
生育、養分吸収、同化作用を促進する働きがある。欠乏すると葉色が淡黄色になり、成長が 鈍化し、植物が小型化する。過剰になると葉色が濃くなり、茎葉が増加し、過繁茂になる。
2リン酸(P)
成長、根の伸長、開花、結実を促進する。欠乏すると葉色が暗緑色、赤褐色、青銅色になり 、葉が小型化する。また茎が細く、根の発達が不良になる。
3カリ(K)
根や茎を丈夫にする。欠乏すると葉の中心部が暗緑色、先端や緑が黄色化する。
肥料成分
肥料の3要素(N-P-K)の重量パーセントが成分比で示される。
例)N−P−K=5−10−5は肥料100g中にチッ素が5%(5g)、
リン酸が10%(10g)、カリが5%(5g)含まれていることを示す
この肥料成分には5つのパターンがあり、植物の種類や施す時期によって使い分けがされる。
@水平型 (5−5−5など)
植物、時期に関係なく使用される。
A山型 (3−5−3など)
火山灰土壌で草花、果菜類、花木を栽培するときに使われる。
※リン酸はやりすぎてもあまり過剰病が出ない
B谷型 (5−3−5など)
路地野菜などに使われる
C右上がり方 (3−5−7など)
球根植物、根菜類などの栽培や冬越し栽培で使われる
※環境の悪い土壌、宿根草にもよい
D右下がり方 (7−5−3など)
観葉植物、葉菜類などに使われる。
※生産者は早く育てたいのでチッ素が多いのがいい。
家庭では環境の悪いところだと大きくしたくないので、
カリが多い右上がり方の方がよい。
施肥方法
肥料が過剰だと肥料やけを起こしてしまうことがあるので、植物が必要とする肥料全量を一度に施すのではなく、元肥と何回かの追肥として施したほうがよい。
元肥 緩効性あるいは遅効性肥料がよい。成分は、3要素が同じ水平型かリン酸を多く含む山型がよい。
追肥 速効性の液体肥料か速効性と緩効性を兼ね具えたものがよい。生育の前半は、株の充実を図るためにチッ素の多いものか各成分均等の水平型などのものがよい。生育後半(生殖成長期)は、着蕾、着果をよくするためにリン酸、カリを多く含むものがよい。 |